フジテレビの石原隆がこう語った。

西村雅彦に初めて出会ったのは「振り返れば奴がいる」というドラマの撮影現場だった。恥ずかしいことに僕はそのときまで三谷幸喜の芝居も西村雅彦という役者も全く知らなかった。「東京サンシャインボーイズ」というめちゃくちゃ面白い劇団があるとは聞いたことはあったがもともと舞台があんまり好きではなかったということもあって、観る機会はなかった。
テレビの仕事をきっかけにサンシャインボーイズの芝居をはじめて見た。死ぬほど面白かった。タイトルは「ラヂオの時間」。その舞台では西村雅彦が主役だった、彼の存在感に圧倒された。これまでみたどんな役者より彼は光り、輝いていた。こんなに面白い芝居を観たのも、こんなに面白い役者をみたのも初めてだった。
それ以来、西村雅彦の仕事はすべて注目している。僕自身もたくさんの仕事をご一緒させていただいた。僕がかかわってない作品で西村雅彦がよかったりすると、嫉妬したりもした。これはもう恋愛カンケイである。
そして、「笑の大学」。
これまでで一番ジェラシーを感じた。これは三谷幸喜と西村雅彦のコンビの芝居の最高峰である。三谷幸喜は検閲官と劇作家という構図を使って、自分自身のエンターテイメントとの格闘を表現しているように見える。検閲官の西村雅彦は近藤芳正演じる劇作家の台本を直せば直すほど、自分が喜劇に魅せられていく様を実にデリケートに演じている。たったひとつの台詞を失っただけで、すべてが壊れてしまうほど繊細で完成度の高い芝居を西村雅彦は流れるように演じきった。
劇場を出るとき偶然伊丹十三にあった。
「面白かったですね。」というと、彼は真剣にこう言った。
「これはすでに古典だ。」
なるほどと思った。     (96年 ザ テレビジョンより抜粋 )

そんな作品なのである。

西村雅彦は大阪公演の再演で「1000回、2000回と演じていきたい。」と言った。だから、これから再演もあるだろう。
観てない人は劇場で必ず観るべきである。
テレビでも「笑の大学」が放映されたが、あの時の体調はあまりよくないように思え、是非自分の目で確かめてほしいと思う。


出演者     

西村雅彦
向坂睦夫 検閲官。冷たそうに見えて本当は心の温かい人物。初演は冷たさが前面にでていたが、再演では表情がやわらかくなり、椿を小ばかにしている余裕さえみえる。初日に椿に「もじり」について教えてもらい、後半得意げになって、「これって、もじりってやつだよね。」というところは本当にいい。叫ぶシーンも迫力があり、彼ほどこんな風にデリケートに演じることができる人はいないと実感できる。
近藤芳正
椿はじめ 劇作家。ほとんど最初っから最後までしゃべっている。汗だくになりながら、椿を演じる。初演の時はもっと情熱的で、少し向坂に対して心を開いてないように見えたが、再演ではよりコミカルに演じていた。この人あっての「笑の大学」であるのは否定できない。

音楽 「雨に歌えば」(映画)のサントラ「Make en laugh」


TV放送状況

1997年正月にNHKで放送。初演の時青山円形劇場にて収録されたもの。
1997年年末にBSで放送。初演の時青山円形劇場にて収録されたもの。

西村雅彦によると、この収録日は40度近くの熱で大変だったらしい。しかも昼には1日署長を務め、笑顔で顔の筋肉が固まってしまい、なんとも辛かったとか。確かに調子はよくないように見える。


初演工程

    現在の公演数107ステージ                      表紙に戻る