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1、ソード(門)、ファーズ(平面宇宙)の発見 |
2、ソードについて |
3、ファーズについて |
4、ファーズにおける勢力図 |
5、ブルーヴォス・ビス・ユスン(三ヶ国連合)の戦略 |
| 1.1 | ユアノンの発見 |
| ソード・レーザ(閉じた門)はその昔、太陽系のオールト雲調査船が太陽から〇・三光年離れた空域で発見した。
ユアノンと名付けられたソード・レーザは、陽子の千倍の質量を持ち、五百メガワットのエネルギーを放射する素粒子である。 これを動力源にすれば燃料がいらないため、ユアノン推進船が作られた。この船により星系外移住計画が進んだ。そして居住権の拡大とともに新たなユアノンが発見され多くの移民船に利用された。 これにより、多くのユアノン推進の移民船が居住惑星の近く置かれることになった。当然ながら、ソードを開くと有人惑星の近くにでる可能性が高くなる。 | |
| 1.2 | クロフェール・ファーゾト(平面宇宙航行理論)の発見 |
| 人類社会の科学の精髄を蒐集したアーヴが、クロフェール・ファーゾトを確立した。
この後ユアノン、つまりソード・レーザをソード・グラーカにするのに成功し、ファズ・ファーゾト(平面宇宙航行技術)を手に入れ、ファーズを移動することが可能になる。 アーヴ以外では、スーメイ人がほんの偶然からファーズの利用法が発見されただけである。 |
| 2.1 | ソード(門) |
| ダーズとファーズを結ぶ通路。ユアノン粒子として知られるソード・レーザ(閉じた門)を、ソード・グラーカ(開いた門)の状態に転換することで、メーニュ(宇宙艦)によるファーゾス(平面宇宙航行)が可能となる。
ソードを通って、ファーズからダーズ、あるいはダーズからファーズへ転移したとき、ソードのどこにあらわれるかは、まったくの確率による。つまり、入ってみるまでどこにあらわれるか分からない。 既知領域のソードは約三〇〇億。そのダーズ側は必ずエルークファ(天川銀河)にある。おそらく銀河のもととなった宇宙卵のゆらぎ以降に、ダーズとファーズが分離したことに起因する現象であろう。ただし、個々のソードの配置は銀河における恒星の配置に対応していない。ダーズ側のソードは大半が銀河の渦状腕に存在するようである。 ファーズでは、ソードの密集したソール・バンダク(中心領域)のまわりを、ソードの集合であるスペーシュ(環)が何重にもとりまき、スペーシュとスペーシュのあいだは、ソードが極端に少ない。このような スペーシュと間隙が交互に積み重なる構造が、銀河系に対応するソードラシュ・エルークファル(天川門群)の特徴である。 人類が利用するソードは、おおむね過密なソード・バンダク(中心領域)―スペーシュ・ダーナ(第七環)の内側に存在している。かつては、ソール・ケーラザ(未踏領域)と呼ばれた、スペーシュ・ガーナ(第八環)からスペーシュ・ロキュトナ(第十一環)にも、人類の飽くなき膨張欲の結果、有人星系へのソードが散在している。 スペーシュ・ロマータ(第十二環)は、フリューバルが完全に全て掌握していた。 ソードには、ソード・グラーカ(一般のソードを指す)とソード・レーザ(ユアノン)の二つの状態がある。 | |
| 2.2 | ソード・レーザ(閉じた門)とソード・グラーカ(開いた門)の変化 |
| ソード・レーザは、クロフェール・ファーゾトに基づく技術によりソード・グラーカにすることができる。また、ファーズからでもソード・レーザをソード・グラーカにすることができる。
ソードを開かない限り、どこのダーズとファーズがつながっているか、片側からは分からない。 一度、ソード・グラーカになると、低エネルギー状態で放置されれば、自然とソード・レーザになる。その半減期は一二年である。 半減期が一二年ということは、開いた状態である確率が50%になるのが一二年ということである。 つまり、一〇〇個のソード・グラーカをほったらかしにすると、一二年で半分の五〇個はソード・レーザとなっているということであり、ある特定のソード・グラーカが、いつソード・レーザになるかは全く予想できない。 | |
| 2.3 | ソード・レーザ(閉じた門) |
| ソード・レーザは、陽子の千倍の質量を持ち、五百メガワットのエネルギーを放射する素粒子である。とはいえ、ダーズにおいては質量はほとんどないといってよく、自身がエネルギーを輻射しているので、太陽風と反発しあう。したがって、自然状態では星系外縁部に位置するのが一般的である。
だがソードが事象の地平線の彼方に位置するとき、ソードは輻射以上のエネルギー圧を受けることになる。そういった場合、大部分のソードとは逆に、ダーズからファーズにエネルギーが流れ込む。このソード・レーザをキーガーフ(火山)と呼ぶ。 キーガーフからのエネルギーはスプー・フラサス(時空粒子)――電子の四倍ほどの質量を持つ縮小化された四次元時空となり、粒子密度の濃い方から薄い方へファーズを流れ、他のソードに出会うとダーズに戻る。かつて人類が恒星間航行に利用したエネルギーはこれに由来する。こうして、ソード・レーザから五百メガワットのエネルギーが放射されていた。 ソード・レーザは、動力源として使われ移動していったように、船に積んで移動させることができる。ただし、ファーズ(平面宇宙)側からそのソードを開くと船が爆発するという危険性はある。そしておそらく、ファーズ内にソード・レーザを移動させることは不可能だろう。 | |
| 2.4 | ソード・グラーカ(開いた門) |
| 普通は有人惑星の衛星軌道、時には公転軌道に配置される。
外見は、燐光をはなつ衛星。衛星といっても固い地面があるわけではなく、ガスの塊ですらない。 ダーズでは、実体のない、直径一セダージュばかりの球状特異空間。 ファーズでは、不完全な螺旋状曲線を描いていることが多い。おそらく、ソード・レーザも同じ形だと思われる。 ソード・グラーカを通って、ファーズとダーズを転移する。その際、位置は確率論的にのみ、知ることができる。 フラサス(時空泡)を発生せずにファーズに入ると、スプーフラサスになる。そしてそれは死を意味する。 | |
| 2.5 | ソード(門)の移動 |
| ソード・レーザは、ユアノンとして動力源として使われ移動していったように、船に積んで移動させることができる。ただし、ファーズ側からそのソードを開くと船が爆発するという危険性はある。そしておそらく、ファーズ内にソード・レーザを移動することは不可能だと思われる。
そのため、新たなソードをある有人惑星(これ以降X惑星)の側に移動させたいと考えた場合、
さらに比較的近くといっても、五光年以上離れていることはざらであり、それを回収して戻ってくるためには一〇年以上必要となる。 超光速航行とは、ファーズに入って移動してソードから出ると、ダーズでは光速でもかせげない距離を移動していることである。つまり、ダーズにおいて光速は越えられないのである。そのため、どれだけ速度を出せるか分からないが、光速を超えられない限り、五光年を往復すれば絶対に一〇年以上かかる。 |
| 3.1 | ファーズ(平面宇宙) |
| ソードとソードを結ぶ空間で、ダーズとは別の物理法則が支配する宇宙。二次元の空間と一次元の時間が存在する。アーヴは、この空間を移動することで、超光速の恒星間航行を実現した。
フラサスが発生しなければ、スプーフラサス(時空粒子)になってしまうため、フラサティア(時空泡発生機関)のエネルギーは絶対に必要である。 | |
| 3.2 | フラサス(時空泡) |
| ファーズを航行中の艦が、その周囲に発生させる力場。この内側のみが通常の四次元連続体を維持できる。なくなると、縮小化された四次元時空、つまりスプーフラサス(時空粒子)となる。
また、フラサスはスプーフラサスとセースラズ(質量波)を放射する。 この空間は、フラサスに包まれて移動するが、ファーズに存在するスプーフラサスと相互作用する。スプーフラサスを吸収し、また放出する。吸収量より放出量が多いので、その差はフラサティア(時空泡発生機関)に注ぎ込まれるエネルギーによって補填されねばならない。それがファーズに支払う通行料となる。 ファーズでフラサスは二つの状態をとることができる。それは、ノークタフ(移動状態)とスコールタフ(停止状態)である。 | |
| 3.3 | ノークタフ(移動状態)とスコールタフ(停止状態) |
| ファーズ上でフラサスがとることができる二つの状態のうちの一つ、それがノークタフ(移動状態)である。その状態は、床の上で回転する球で表わすことができる。
回転軸が床にたいして垂直になっているときは、球はその場にとどまる。そして平行にすれば転がっていく。回転軸が垂直になっているときがスコールタフ(停止状態)であり、平行の場合がノークタフ(移動状態)である。回転軸が斜めの場合には対応する状態はない。 ノークタフ(移動状態)にあるとき、回転軸の方向は自由に定めることができる。また、二つの状態は瞬時に切り換えることができ、それによって速度の調節ができる。 忘れてはならないのは、止まっていようと転がっていようと、常に回転している――すなわち一定のエネルギーを消費している、ということである。 | |
| 3.4 | ゴール・プタロス(時空融合)とゴール・リュトコス(時空分離) |
| フラサスとフラサスが融合することにより、フラサス内の二つのダーズがつながること。ゴール・プタロス直前には、接触したフラサスの内表面の一部が、多量のスプーフラサスで泡立つ。これは相手から発生するスプーフラサスがこちらのフラサスに侵入するため起きる。
フラサス内表面は灰色だが、一点から白光が噴きだし、白光の周囲には色彩がたゆたい、色彩がみるみる拡大していく。この美しい光景がゴール・プタロスの兆しである。この状態で加速を行うと、灰色を彩る光は加速開始と同時に流れて帯のようになる。背中の方向から頭上にかかり、前方をとおって足元から背後に向けて完結する、虹の輪である。 大きさはおそらく半径一五〇〇〇キロほどの球ではないかと思われる。 この値は、ゴール・プタロス(時空融合)と同時にレスィー(巡察艦)が、イルギューフ(砲弾を光速の一〇〇分の一まで加速させる)を撃ち、かつ届く前に自爆させることが可能という条件より、導き出した。 (一つのフラサスの場合) 〇.三万km/s*{5s(撃ってから自爆させるまでの時間)*2(真ん中で自爆したとする)}/2(ひっついた二つの球の中心と中心の距離を半分にし、球の半径を出す) フラサス(時空泡)内でのホクサス以外の攻撃は、フラサス内でしか効果がないため、船のスネセーブ(防御磁場)で防げず、さらに避けれないような攻撃でもゴール・リュトコスすることで攻撃を防ぐことが可能である。もちろん、ある程度時間がかかるゴール・リュトコスを、敵の攻撃が船を貫く前にやらなければならないのだから、そう簡単にはできない。 | |
| 3.5 | ファーズ(平面宇宙)における通信 |
| ファーズではフラサス内でしか通じないため、ドロシュ・デム(電磁波通信)でアーガ・レーガコト(投降信号)を出しても、相手はゴール・プタロス(時空融合)してくるまで、分からない。
ドロシュ・フラクテーダル(泡間通信)がファーズで唯一のフラサス間通信。これはフラサスを突き動かすことで行う。 送信速度が耐え難いほど遅く、少し距離があると役に立たない。 ファーズでは、セースラズ(質量波)も放射されるがこれは通信には使えない。 | |
| 3.6 | セースラズ(質量波) |
| フラサスは、スプーフラサスの他にセースラズを放射する。ダーズにおける電磁波と同様、理論上は無限に到達し、フラサスも貫く。しかし、ソードは、透過できない。また、距離が広がるほど、それ相応の感知設備が必要となる。
また、セースラズは通信には使えない。なぜなら質量波の波長と発生頻度はファーズの物理法則により、厳密に決定され、人間の都合は全く忖度されない。フラサスの質量を変化させられれば、通信に利用できるが、重力制御技術は質量そのものを変化させるわけではないので、その面では役に立たない。唯一、有効なフラサス間の通信はドロシュ・フラクテーダルである。 |
| 4.1 | 星間国家 |
| ファーズを大海にたとえるなら、ソードは島と見なせるだろう。大海に比べれば、無視してもさしつかえのない面積を持つ小島である。とうぜん、島には有人のものも無人のものもある。無人のものがほとんどといってもよい。
星間国家とはこの島の集合体ということができる。したがって明確な境界線は存在しない。 ただ、ファーズを分割しようという試みはあった。すなわち、有人星系に通じるソードを中心として一定の直径を持つ円状の領域に、それぞれの所属国家の主権を認めようという条約が何度か結ばれたのである。 しかし、フリューバル・グレール・ゴル・バーリ(アーヴによる人類帝国)が常に国際社会の埒外にあり、こういった取り決めに無関心であったため、条約によるファーズの分割はけっきょく無効となった。 | |
| 4.2 | ファーズ(平面宇宙)の境界線 |
| ファーズ航行船には理論的な到達限界点が存在する。実際のファーズ航行船の航続距離はこの理論値よりかなり短い。なぜなら、到達限界点とはフラサスに内包されうる最大質量を全てエネルギーに変換すると仮定した際に得られる値だからである。現実の船はなにかを運ぶためのものであり、乗客や積み荷、あるいは船そのものをエネルギーに変えてしまうわけにはいかない。
この航続距離の問題から、ファーズを航行する船は頻繁に補給を行う必要がある。それゆえに、補給可能な星系に通じるソードがない領域では、船は航行できない。 この冷厳たる物理法則と国家の生存意志が勢力境界線を形作った。星間国家が自国の星系間の連絡をはかるのに、他国のソードを利用しなければならないとすれば、万が一の際、容易に仮想的国土を分断されてしまう。この種の危険を避けるためには、自国のソードのみを利用して全ての星系へ連絡できる航路を設定する必要があるのである。各国の勢力圏とは航路の集合体と見なすことも可能である。 | |
| 4.3 | スプーフラサス(時空粒子)の流れ |
| ソードラシュ・エルークファ(天川門群)の中心領域からは濃密なスプーフラサス流が湧出しているため、周縁部から中心にむけて航行すると、その流れを遡航することとなり、航続距離は短くなり、速度も遅くなる。
このような流れの存在することが、ファーズを大海に置き換えて理解する際に最大の障壁になる。むしろ、高山と考えるべきかもしれない。 つまり、中心が頂上、周辺になだらかに広がる山と考える。ある地点から同じスペーシュ(環)の反対側へ移動するときは、直線距離では一番短いが何本ものスペーシュを横切る、いわば頂上まで登って降りるルートではなく、スペーシュにそってスプーフラサスを横に受けながら航行するのが唯一のルートである。いわば、等高線のようにつけられた道を採用するのである。 |
| 5.1 | ブルーヴォス・ビス・ユスン(三ヶ国連合)の作戦 |
| ブルーヴォス・ビス・ユスンは、フリューバル(帝国)に不意打ちを行うため、フリューバルが完全に独占支配をしているスペーシュ・ロマータからラクファカールへの侵攻を企んだ。
そして、ルエコス(帝国暦)九五二年、ブルーヴォス・ビス・ユスンはスペーシュ・ロマータ(第十二環)に新たなソード(門)を二つ開いた。それまでそこはフリューバル(帝国)の独占状態だった。そのため、ブルーヴォス・ビス・ユスンはこれらのソードを開くのにとてつもない労力を必要としたと思われる。 | |
| 5.2 | 作戦におけるソード(門)の収集方法 |
ブルーヴォス・ビス・ユスンの勢力下にある惑星の近くなら、どのソードでもよいとして考えると
1だけでも、何年かかるかわからない。2も下手をすると1を一二回以上も行わなければならず、とんでもない期間がかかるだろう。そして、3は半減期が一二年、下手をすると何百年もソード・レーザにならない可能性もある。そして、4で最低でも一〇年以上かかる作業である。 しかも、これを二つのソードにおいて行ったのである。 ただし、スパイが必要なソードの情報をフリューバル(帝国)より入手した場合は、1、2の段階を省略できため、かなり期間を短縮できる。 もちろん、フリューバル(帝国)もそれを承知してるだろうから、その情報を盗むのは難しいだろう。 | |
| 5.3 | 作戦についての巳村の独断 |
| 私の独断では、軽く一〇〇年は超えた作戦だったのではないかと考える。全く気が長い作戦である。もっとも、こんな時間のかかる作戦に人間が関わったとは思えず、全自動の機械において、ソードの発見、調査、回収を行ったのだろう。
それでいて、戦争で一番重要な先制攻撃、ラクファカールへの侵攻を失敗させたのだから、おそまつすぎる。 しかし、作戦の巧妙さはたいしたものである。またそれだけ長期間、この作戦について情報を秘匿し続けたのも、賞賛に値する。 |